繋がる自然
自然のエネルギーを描く
2024年の個展も5回目になる。「大自然に寄り添い、水に馴染む」がテーマだ。自然のエネルギーを感じて、その恵みと悠々と続いている命の繋がりに感謝しながら作品を作ってきた。
「大自然に寄り添う」とは、先祖に感謝をして、自分の命の使い方を見つめることなのではないだろうかと思う。巨木を目の前にすると、「感動する」という言葉ではとても表せない。遥か昔からの先祖の命が重なり次の命を支えているような圧倒的な強さと優しさのエネルギーに、魂が揺さぶられる。
水に馴染む
「水に馴染む」には、驚くほどの意味がある。水は宇宙時代からの記憶を持っていると言われている。人の体は水を運ぶ舟とも考えられていて、人が移動すると水が動いてその土地に馴染んでいく。
私が思う水に馴染むというのは、自分が描いている絵の中のエネルギーが、そこにある水と馴染んで、現象を生んでいくことなのではないかと思う。
作品を個展で展示する。そうすると、絵を見に来てくれた方や、偶然出会う方と話をする中で、面白いほどに価値観が合う方と出会うことになり、その方からまた次の個展で別の方に繋がっていく。今、自分が会うべき人たちと会うことになっているのではないだろうかと思う現象が起こるのだ。
自然から呼ばれる
のんびりしている自分だけれど、「描いて」と自然から言われているような気持ちになるので、次の作品に取り掛かっている。
午後仕事から帰って、一度座って携帯を見たり、空想を始めると、気がつくとおなかが減って料理を始めて、いつの間にかその日はキャンバスの前に座らなかったという日もある。そんな日が続くと、見るもの聞くものから、「ほら、あなたは絵を描くんでしょ」というメッセージが来るので、キャンバスの前に座って、自然の空気の中に入り込んでいくことになる。時間は短くても長くても、いろんな対話をしている。
作品を展示して、見てくれる方に作品の話をするときに、その対話の一部を話すと、なるほどと納得したり、自分も同じようなことを考えているのですよとと話が弾んだりするのが面白い。
自然の思い
自然には、新しいも、古いもない。そこには同じように命があり、エネルギーが息づいている。でも、古いもの長く生きているものには強さがあり、深さがある。自然は私たちに常に話しかけている。人の言葉ではない魂の音で話しかけている。その言葉を聞こうと思ったら、ただ聞こうと思う気持ちで心を傾けることだ。何にも聞こえないかもしれない。でも、こんなことを言っているんじゃないかなと思ったらきっと聞こえている。
通勤の朝、左右が木々に覆われている道を通る。おはよう、今日もありがとう。と話しかけると木々は揺れて答えてくれる。
老木、巨木に出会えた時、足がすくむほどに深い深い声が聞こえる。大勢の祖先たちがそこにいた遠い記憶の中で響く音がする。これを描くこと、感動して描くことで、答えている気分になる。きっとそうして欲しくて、私を呼んだのかなと思う。
絵描きの自分ができることは、自然のエネルギー、自然の声を形にすること。あまり考えすぎると難しくて筆が止まる。しばらく置いて気分を楽にして再び描く。繰り返していくうちに、絵の中の自然の音が聞こえる感じがする。楽しい。そうして絵が出来上っていく。自然のエネルギーの美しさ、強さ、深さには感動と感謝しかない。
2024年12月16日
yoshiko🌀
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